2019年4月1日より、改正された労働基準法が施行され、中小零細企業を含め新しいルールが適用されるようになります。
その中で、タクシードライバーにとって最も影響が有ると思われるのは、5日間の有給休暇の取得義務化ではないでしょうか?

企業風土によっても異なりますが、有給休暇の取得に関して「いい顔」をしないタクシー会社は多いと思われます。
また、有給休暇を使ったことの無いドライバーも多いのではないかと思います。
そんな、タクシー会社にとっての「鬼っ子」の有給休暇について、特に有給休暇の取得をしていないドライバー向けに、ドライバー目線から有給休暇について考えてみたいと思います。

思いの外、書くことが沢山あったので、2回に分けてアップします。
初回は、基礎編として、知っておいて欲しいことをまとめてみました。


そもそも有給休暇とは…

労働基準法第39条に定められた、労働者の権利です。
通常勤務の場合、その名称を問わず、半年以上勤務した労働者(試用期間を含めた入社日基準です)に対して、年間10日。それ以降は、1年毎に、11日・12日・14日・16日・18日・20日と付与され、7年目以降は毎年20日間の有給休暇が付与ます。
隔日勤務のドライバーの場合、1乗務取得すると2日分の有給休暇を消化したことになります。
取得しなかった有給休暇は、翌年に繰り越すことができます。ただし、翌々年には繰り越すことができずに消滅してしまいます。
時短乗務員(会社によって名称が異なりますが、いわゆる「8勤の乗務員」)も、取得日数可能日数などは異なりますが、年次の有給休暇は発生しています。


有給手当とは…

有給休暇を取得した際に支給される金額のこと。
通常の月給制の会社であれば、有給休暇を取得しても支給される給与総額は変わらないケースがほとんどですが、タクシードライバーのように稼ぎに応じた賃金の場合、有給休暇取得時は有給休暇手当を支給して、補填する方法がとられます。
補填される有給休暇手当の方法は以下の3パターン。
1.平均賃金
2.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3.健康保険日額
これは、就業規則に定めがあるので、どのパターンで有給休暇手当が計算されるのか?ご自身の会社がどのパターンで計算するのか、確認が必要です。


有給休暇を取得すると、総支給額が減る!?

一般的に、有給休暇手当が1.平均賃金・3.健康保険日額で計算される場合、有給休暇を取得すると取得しないで働いた場合よりも、総支給額が減ります。
平均賃金とは、3ヶ月の総支給額をその総日数で割ったもの(イメージとしては、3ヶ月間の総支給額を90日で割ったもの)と、3ヶ月の総支給額を総労働日数で割ったものの6割の高い方が採用されたものです。
また、健康保険月額を30(日)で割ったものです。
いずれの方法も、その月の総日数で割るので、1日あたりの支給額は減ってしまいます。

少し分かり難い(書いていてもそう思います)ので、具体的に計算してみると…
毎月、総支給額が44万円だとしましょう。
毎月の乗務数は11日。
3ヶ月の総日数が90日だとします。
この場合、

1.平均賃金だと、下記のいずれかの高い方になります。
・総支給額を総日数で割ったもの
44万円×3ヶ月=132万円
132万円÷90日=1.466万円

・3ヶ月の支給総額を総労働日数で割ったものの6割
44万円×3ヶ月=132万円
132万円÷66日(11乗務×2日分×3ヶ月)=2万円
2万円×0.6=1.2万円

この場合、1.466万円>1.2万円なので、平均賃金は1.466万円となります。

2.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金だと
44万円×3ヶ月=132万円
132万円÷66日=2万円
2万円が有給休暇手当となります。

3.健康保険日額だと
14670円(健康保険日額表より)が有給休暇手当となります。

つまり、通常働いていれば1日あたり2万円の支給を受けるはずが、有給休暇を取得し、その計算方法が、1.の平均賃金や3.の健保日額の場合、総支給額が減ってしまいます。

所定日数を隔日勤務で11日基準で計算しましたが、12日の会社だと計算結果が異なります。
ご自身の会社がどうなっているのか?ご確認ください。


乗務しているのは所定日数だけですか?

所定日数が隔日勤務で12日あるいは11日の場合、有給休暇は所定日数を割った乗務にならないと発生しません。
所定日数12日では11乗務に、所定日数11日では10乗務になってはじめて有給休暇が取得できます。
隔日勤務の場合、月間13日まで乗務可能なので、ドライバーの中には毎月のように13乗務しているドライバーも多いと思います。
その場合、公出乗務分も乗らず、所定の乗務分からも割らないと有給休暇が取得できないので、取得のハードルは高いのではないかと想像しています。


賃金体系との関係

会社によっては、所定乗務日数を割り込むと、割り込んだ理由の如何を問わずに賃率が下がる会社があります。
つまり、有給休暇を取得すると、賃率そのものが下がる場合があるということ。
これは会社によって異なりますので、ご自身の会社がどうなっているのか?ご確認ください。


どう取得するのか得なのか(損をしないのか)?これが次回のテーマです

会社によって有給休暇取得への様々なハードルがあると思いますが、4月1日に法律が変わり、各々のドライバーの有給休暇発生基準日から1年間で、5日間(隔日勤務だと2.5乗務分)の有給休暇を取得しなければならなくなります。
また、取得を妨げた事業所には、最高で30万円の罰金が科せられることからも、各会社で有給休暇の取得を推し進めていくことになるでしょう。
ただ、有給休暇を取得すると、総支給額が減ってしまう会社が多いのも確かなこと。
それらの現実を踏まえながら、どう5日間の有給休暇を取得すれば良いのか?を次回考えてみたいと思います。


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追記
以前、私は健保日額が有給休暇手当の中で一番低い額になると思っていました。
そして、ツイッターやブログにそう書いたこともありましたが、実際に計算してみるとそれは事実と異なっているケースもありました。
この場を借りてお詫びいたします。


yukyu